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No FutureなMy Life 如何に楽しむかを考える


by bigdady_orz
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31

笑うしかない

それは一人の男の物語。

齢31の独身の男の物語。

つまらない人生を送っていたと勘違いしていた男の話だった。

その男、31歳にもなって彼女もいない。

その上ギャンブル依存症で借金も多くあった時代もあった。

現に今は破産宣告を受けて人並みの生活を送れてすらいない。

そんな男に女がなびくわけもない。

もしかしたら金銭感覚を治せばよりよい人生を歩んだのかもしれない。

親には人生損していると言われたとき、その瞬間は何も感じずとも遅れて考えさせられる。

男は頭が悪い。

自分ではもう少しましかと思っていたが実際はくそみそな頭だ。

悲観しているわけでもなく、これが現実の自分である。

その認識だけがその男の唯一の美点であったと言っても過言ではないだろう。

今その男は漫画喫茶で仕事の合間の休息をとっている。

一ヶ月前の健康診断では血圧が高いと言われ精密検査を進められた。

そう。男は肥満体であった。

今までは若い。自分だけは大丈夫。そんなどこから来るかわからない自信に満ち溢れた典型的な自己中心的な男。

そんな男に人生の楽しみは見つかるのだろうか。


ここに記すはそんなお先真っ暗の男の物語。

漫画喫茶で横になり少しでも寝ようとするが動悸が激しくて思うように寝ることもできない。

このまま行くと男は死ぬだろう。

いや、すでに死に掛けているかもしれない。

男は数十分前に、もうだめかもしれないねと思った。

なんでかわからない。

いや、わかっているがわかろうとしてないだけかもしれない。

そんなアヤフヤな思考の中、ふと目の前にあるお世辞にもハイスペックとも思えないパソコンを立ち上げて

メモ帳を開いてつらづらと何かを書き出した。


これは男の物語。


男は漫画が好きだ。

オナニーが好きだ。

タバコが好きだ。

トモの事がたぶん好きだ。

ギャンブルは大好きだ。

酒はそんなに好きじゃない。

なんで酒というキーワードが思い浮かんだのかはよくわからない。

イメージだけで書いているのだろう。

相変わらず滑稽で自分が無い男だ。なんて笑える事だろう。


まぶしいくらいの蛍光灯の下、生暖かいエアコンの風をうとましく思いながら

パソコンの画面に表示されるデジタル時計に目をやる。

21:50か。


同僚は寝てるのだろうか。

そういえば男の同期であるS氏は結婚したらしい。

仕事で忙しいはずなのにどこでてなずけたのか。羨ましいことこの上なし。

いいなぁ。

タバコに火をつけながらそんなことを思う。

ふと隣のブースで男の微笑がきこえた。

何か面白いことでもあったのだろう。微笑の後、数回のむせるような咳が聞こえる。

風邪なのか何かにむせたのか。とにかくうつしてほしくは無いものだ。

これ以上何かの枷を得るのはまっぴらごめんだからだ。


ここで男はキーボードにおかれた指を休めた。

大した文字数を打ったわけではないのに。

こんなところにまでスタミナ不足を感じるなんて、いかに仕事に疲れている・・・いや

運動をしていないから身体が弱っているのだろう。

一昔前なら考えられないことだった。


男はひとつため息をついた。


ふと時計を見る。

21:55。

仕事まで1時間と数十分。

ここで休まないと明日に響く。

そう思ってはいるがたぶんこのまま寝ることは難しいだろう。


言い訳という言葉はその男は大嫌いだった。

言い訳という言葉にはひとつも良い印象がないが、気がつかずに使ってしまっているからだ。

自分だけがよければそれでいい・・・20代のころはそんな気持ちも少なく

愛する人に愛されればよく、限りなく正直でいたいと感じていたことは事実。

だが男は言い訳の塊だったことにようやっと気づく。


咳払いの音が煩わしい。

そんなに苦しいなら病院行け。


左足の踵にできた出来物が痒くいらついていた。

思いっきりかこうにも血が出ると始末に追えないので強くかいて放置することにした。

男はつまらない生き物だった。


男はいいかっこしいだった。

男には離婚した両親がいる。

50代にもなっての熟年離婚した両親。

親父は認めてなかったが母親はとにかく別れたがっていた。

愛は無いらしい。聞きたくはなかったが事実であろうことなので聞いて良かったとも思う。

母親の弟は義兄(アニキ)と呼んで慕っていたようだったがそれも仮初だったのか

最近久しぶりに会ったときは「あの人」と「男の父親」と呼ぶようになった。

当たり前な事なのだろうけれど、ふと寂しい気持ちになった。

親父は今年老いた母親と暮らしている。

それが不幸なのかどうかは本人に聞いてみるしかないがそういう人生もあるのだろう。

冷たいようだがどうしようも無い事実。

母親は祖父と暮らしている。

充実したセカンドライフを送っているようで、親孝行もしつつ楽しそうに生活しているのを見ると

少し救われる気がした。

男はこうなりたくは無いと思いながらもこれ以下の事態になっている事を思い知らされていた。

好きってなんだろう。愛ってなんだろう。

セックスがしたいだけなのか。子孫を残したいだけなのか。

それだけは認めたくは無かったが認めざるを得ない状況にもなっていた。


そう。男は身体も心も病んでいた。

そんな男の物語。

始まりも終わりも無い、存在もしない男の物語。
by bigdady_orz | 2011-12-08 22:07 | 腐敗日記